レート制御モード「CBR,VBR,QVBR」についての解説
この記事では、動画を圧縮/変換する際に用いられる。メジャーな3つビットレート制御モード「CBR,VBR,QVBR」についてそれぞれ解説して行きます。
ちなみに、レート制御モードとは、データの圧縮時に映像の綺麗さに比例するビットレートをどのように扱うかを設定する手法のことです。
ビットレート制御方式「CBR,VBR,QVBR」
動画ファイルの変換や圧縮において、ビットレート制御は非常に重要な要素です。一般的に使用される3つの主要なビットレート制御モードについて、詳しく説明いたします。
CBRは最も単純な方式で、動画全体を通して一定のビットレートを維持します。これにより、ファイルサイズの予測が容易になり、ストリーミングにも適しています。しかし、シンプルな場面と複雑な場面で同じビットレートを使用するため、画質の一貫性に欠ける場合があります。
- CBR
- 解説
- Constant Bit Rate – 固定ビットレート
- 一定のビットレートでデータを転送する方式で、固定ビットレートとも言われる。
- 音声や動画のデータを一定のビットレートでエンコード。これにより、データのビットレートが一定に保つことが可能に。
- ストリーミング動画配信サービスでは、CBRを採用することがベストプラクティスとされている。
- 動画のストリーミング配信サービスで、CBRが採用される理由
- 単純にデータ量を抑えたいなら、VBRやQVBRがお勧め。
一方のCBRは、変換時にパディング(余分なデータ)を挿入することでデータ量を一定に保つたことを実現しているため、VBRやQVBRと比べてデータ量が大きくなりがち。
だが、HLS配信の場合はCBRがベストプラクティスとされている。
その理由は、CBRのようにデータ量を一定に保つことは、HLS配信において、バッファリング(停止や遅延)を防ぐことにつながるためである。ネットワークの帯域幅(水が流れるホースの様なイメージでOK)に対して、常に(ある程度)一定のサイズのデータが通過していくこととなるので、スムーズかつシームレス(継ぎ目のない)なストリーミング体験を提供できる。
逆に、VBRやQVBRでMP4動画をM3U8に変換した場合、総データ量は抑えられる一方、各セグメント(コマ切れの動画ファイル)ごとでかなりのデータ量の差が生じる。この差分が原因で、ネットワークの帯域幅によっては、バッファリング(停止や遅延)を引き起こす場合があるとされている。
- VBR
- 解説
- Variable Bit Rate – 可変ビットレート
- 音声や動画などの圧縮時にビットレートを動的に調整。
- データの内容の変化に応じて圧縮率を動的に適応させることが可能。
つまり、データの複雑さに応じてビットレートを上下し調整。
これにより、データ全体の平均ビットレートを下げつつ、必要な部分には高いビットレートを割り当てることができる。
- QVBR
- 解説
- Quality-Defined Variable Bit Rate – 品質定義可変ビットレート
- QVBRは、VBRをさらに発展させた最新の方式。
- 目標とする画質レベルを設定し、システムがそれを達成するために必要なビットレートを自動的に割り当て。
QVBRは高度な分析アルゴリズムを使用し、人間の視覚特性を考慮しながら、シーンごとに最適なビット配分を実行。
これにより、一貫した高画質を維持しつつ、効率的なファイルサイズの最適化が可能に。
最後に
動画のエンコーディングにおけるレート制御モード「CBR、VBR、QVBR」について解説してきました。
これらの手法は、ビットレートと画質のバランスを取る上で重要な役割を果たします。
CBRは一定のビットレートを維持し、VBRは画面の複雑さに応じてビットレートを変動させ、QVBRは画質を優先しつつビットレートを調整します。
適切なレート制御モードの選択は、用途や配信環境に大きく依存します。
ストリーミングサービスではCBRが安定性を提供し、オフライン再生向けにはVBRが効率的です。
QVBRは両者の利点を組み合わせ、高品質な映像を求める場面で効果を発揮します。
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ここまで拝読して頂きありがとうございました。


